この記事では-ing形と過去分詞形(-ed)の副詞的な用法である分詞構文について詳しく解説していきます。
まずこれまでの復習から始めましょう。
動名詞
- 名詞(句)をつくる(この時の-ing形を動名詞と呼ぶ)
(広義の)現在分詞=動名詞以外の-ing形
- be助動詞+現在分詞で進行形をつくる(時制はbe助動詞部分)
- 形容詞(句)をつくる(狭義の現在分詞)
- 副詞(句)をつくる(分詞構文)
- be助動詞+過去分詞で受動態をつくる
- have助動詞+過去分詞で完了形をつくる
- 形容詞(句)をつくる
- 副詞(句)をつくる(分詞構文)
分詞(現在分詞と過去分詞)には、動詞の態(voice ヴォイス)や相(aspect アスペクト)を表現する他に、形容詞 (句) としての働きがありました。
分詞はこれらの働きに加えて、もう1つの重要な働きを持ちます。
それは分詞構文と呼ばれるもので、分詞の副詞的用法に相当します。
分詞は形容詞としての働きだけでなく、副詞 (句) の働きをも併せ持っており、そのような副詞的な分詞の用法を分詞構文と呼んで形容詞的用法(限定用法、叙述用法)と区別しているわけです。
- 従属接続詞による副詞節を簡略化した表現形式(文語表現であり口語ではほぼ使われない)
- 分詞構文の基本:従属節の接続詞・主語を省略して動詞を現在分詞にする
次の例文は時を表す従属接続詞 when によって文頭に副詞節が置かれています。
When he arrived at the office, he found a lady waiting.
この副詞節を簡略化したのが分詞構文です。
分詞構文の作り方は、従属接続詞と主語(主節と同じ主語)を省略して動詞を現在分詞にするという流れになります。
実際に副詞節を簡略化して分詞構文を作ってみましょう。
When he Arriving at the office, he found a lady waiting.
接続詞の when と主語の he が省略されて動詞の arrived が現在分詞 arriving に変化しているのを確認しましょう。
このように分詞構文は従属接続詞による副詞節を簡略化した副詞句で、主節の動詞や主節全体を修飾し、時・理由・条件・譲歩および付帯状況を表現します。
どの意味で使われているのかは元の従属接続詞の持つ意味に依存しますが、分詞構文になったことでその接続詞が省略されているので文脈判断が必要になります。
- 分詞の意味上の主語と主節の主語は原則として同じである
- 独立分詞構文:分詞の意味上の主語と主節の主語が異なる分詞構文(慣用的な表現が主)
分詞構文は「分詞構文の意味上の主語が主節の主語と一致するかどうか」、「分詞構文の元になる従属節の動詞が能動態か受動態か」、「分詞構文の時と主節の時が一致するかどうか」という3つの軸で分類しておくとうまく整理できます。
まず分詞構文の基本形では分詞構文の意味上の主語が主節の主語と一致します。
まずは「分詞構文の意味上の主語=主節の主語」を前提として、残りの2つの軸で分詞構文の作り方を整理していきましょう。
- 現在分詞の分詞構文(元になる従属節の動詞が能動態)
- 分詞構文の時=主節の時
- 従属節の接続詞・主語を消す
- 従属節の動詞を現在分詞(-ing)の形にする
When he arrived at the office, he found a lady waiting.
When he Arriving at the office, he found a lady waiting.
- 現在分詞の分詞構文(元になる従属節の動詞が能動態)
- 分詞構文の時=主節の時より前
- 従属節の接続詞・主語を消す
- 従属節の動詞を完了形分詞(having +過去分詞)の形にする
As I had met her once before, I recognized her at once.
As I Having met her once before, I recognized her at once.
- 過去分詞の分詞構文(元になる従属節の動詞が受動態)
- 分詞構文の時=主節の時
- 従属節の接続詞・主語を消す
- 従属節の be 動詞を現在分詞(being)の形にする
- 現在分詞 being を省略して過去分詞だけが残る形にできる
When I was scolded by my mother, I ignored her.
When I Being scolded by my mother, I ignored her.
When I being Scolded by my mother, I ignored her.
- 過去分詞の分詞構文(元になる従属節の動詞が受動態)
- 分詞構文の時=主節の時より前
- 従属節の接続詞・主語を消す
- 従属節の動詞を受身の完了形分詞(having + been +過去分詞)の形にする
- having + being を省略して過去分詞だけが残る形にできる
As she had been praised by her teacher, she studied harder.
As she Having been praised by her teacher, she studied harder.
As she having been Praised by her teacher, she studied harder.
- 否定の副詞 not や never を分詞の前に置く
- never を用いて完了形分詞を否定する場合は以下の語順が可能
- Never having+過去分詞
- Having never+過去分詞
- 分子構文の意味上の主語を明示する場合
- 従属節の主語を残したまま分詞構文を作る
- There is[are]... 構文の分詞構文は There being... の形になる(There を残す)
- 慣用的な独立分詞構文
- 現代英語において用いられる独立分詞構文は慣用的な表現が中心となる
- 口語表現としても使用可能
- 分詞構文の主語が話し手 (I) や一般の人々 (we, you など) であると想定される場合、慣用的にそれらが省略されることがある